「ファイナルカット」 監督: オマー・ナイーム キャスト ロビン・ウィリアムズ FFビデオ制作

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ファイナルカット枠.jpg人の一生の記憶が脳に埋め込まれた小さなチップに記録されている近未来の世界を舞台に描くSFスリラー。監督・脚本は、これが長編映画デビューとなるレバノン出身のオマール・ナイーム。弱冠26歳の無名の青年の脚本に惚れ込み、演出も任せたプロデューサーは、インディペンデント映画の先駆けとなった「セックスと嘘とビデオテープ」や「ラッグストア・カウボーイ」を世に送り出したニック・ウェクスラー。「グッド・ウィル・八ンティング/旅立ち」でアカデミー賞助演男優寅を獲得したロビン・ウィリアムズが、近年ハマり役の“どこか不気味な中年男”を絶妙に演じる。

映像をカッターと呼ばれる編集者が故人の世間的に良くない行動をカットし、良い印象のエピソードだけをつなげた映像にして遺族らに追悼会として見せるサービスがあったりした。

この点は「人生記ビデオに共通する部分があります。仏教の故人を忍んでお念仏をあげる年忌の際に上映するのはまさに追悼会。人生記ビデオも追悼会で上映と言えますね。

記憶を勘違いしている点、人間はだれしも何らかのトラウマがあり、それを解消するために人生を歩んでいるのかもしれません。いつかは正当化できるとか何らかのヒントを求めて。人によりトラウマがない人、忘れた人。人間は嫌なことは忘れる能力がありますから恐らく次第に記憶が薄くなり最後には消えていく。つまり長生きすればトラウマを完全に忘れていい人生だったと思えるのかもしれません。

個人情報保護の観点から見て最悪の記憶チップとそれに翻弄される人々の姿を描いたSFミステリー映画。サスペンスと言うほどスリルなシーンもなく、名編集者でありながら自身の過去のトラウマに敏感に反応し、その解明のために活動し過ぎて悲しい結果になるアラン。

個人情報は一体何のために保護されるのでしょうか。今までは何の制約もなく常識に従っていたのに。コンピュータネットワークが発達して個人情報を故意に悪用する人が増えてきた対策、経済的に情報セキュリティの仕事を増やすため。新しい仕事を増やすという点では優れていると思います。機密漏洩、ハッキングとセキュリティ対策会社はなぜか同じ世界。イタチごっこで仕事を増やしていきます。シロアリと白アリ駆除会社、蚊と蚊取り線香、災害と災害備品会社、万引きと万引き対策会社、つまり人々が困っていることを見つけてその対策をするということでしょうか。結構そのように仕事ってありますよね。何もないところから新しい仕事を生み出すことが経済発展につながるのですから。頭のいい人がいて新しいビジネスを創設していくのですね。

人生の記憶を全部記録するのは確かにやり過ぎと思います。誰でも一生のうちには闇の部分が多少はあるでしょうから、全部第三者が見ると言うのは困るはず。映画の世界観としては新しさがあると思います。しかし、リアリティとしてはやり過ぎで現実的ではないような気がします。例えば政府が国民にチップを埋め込む法律を作るとしたら反対するでしょう。背番号だけでもすったもんだしたのですから。個人のプライバシーは守るという観点はなくならないと思います。それはホテルの一室であり、自宅の一室なのですから。

ものごとは考えようで、親鸞上人のように本能のままに生きる姿こそ人の姿であり、なにも隠す必要はないと言い切れる人ならチップを埋め込んでもいいかもしれません。煩悩の命じるままに自由奔放に生きる、それでいいのだと言うなら話は別です。私は親鸞上人の浄土真宗なのでそう言えるのかもしれません。もともと人には善の面と悪の面があり何処まで理性でコントロールできるかであるとするなら、理性を左右する環境にも問題があると思います。進んで悪と見えるようなことは誰もしませんから。もっとも価値観の相違で、殺人にも加害者には復讐という正当な理由があるでしょうし、被害者には過去に何か足を引っ張ることをしていたのかもしれません。強盗でも自分の生活のためにやむを得なかったと言うでしょうし、ひとりを殺した殺人者は10人の殺人を思いとどまって一人にしたと言い訳するかもしれません。

個人の記憶を残すのはやはりやり過ぎ、せめて屋外の行動は全部衛星から撮影しておけば深夜に多い放火はなくなるでしょうし、強盗や殺人犯の追跡が可能になって犯罪抑止につながるかもしれません。ただ、管理権限のある人やハッキングした人が別の目的に使うことを防止しなければなりません。犯罪を抑止するために防犯カメラを設置するのは世の流れだと思います。

この映画は「人生記ビデオ」と一部重なる部分があり共感しました。亡くなられた人は忘れたいというのが本当かもしれませんが、お世話になった故人、優しかった故人、生涯忘れることのない故人は人生記ビデオに残しておくと想い出が蘇ります。

自分の人生のお気に入りの写真やビデオで編集する人生記ビデオを一度考えられてはいかがですか。

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